子どもの自己肯定感の問題

内閣府による若者の自己肯定感の国際調査で驚くべき内容が公開されています。

半数を超える子どもたちが自分自身に満足していないのです。それも他国と比べて著しく少ない値であることがわかります。

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詳細は内閣府の平成26年版子ども・若者白書(自己肯定感)をご覧ください。

なぜ、日本の子どもたちはこれほどまでに自己肯定感が低いのでしょうか?そして、国の宝である彼らがそう感じながら生きていることはどれだけ深刻な問題をはらんでいるのでしょうか?

このまま彼らが大人になれば、日本の大人の半数以上が自分自身に満足していないということになります。統計をさらに詳しく見ていただければ分かりますが、「憂鬱だと感じる割合」も「社会に対する参加意識」も「将来の希望」の数値も軒並み低くなっています。

私たちは子どもたちのために何をすべきなのでしょうか?

 

子育てをする親の自己肯定感の問題

子育てにおいて大事なポイントはたくさんあるかもしれませんが、最優先事項は親の生き方です。

子どもは親の言葉を聞きません。親の姿を真似して成長します。

親が自信なさそうに「自分を大事にしなさい」と言ったら、子どもは自信なさそうな生き方を真似するのです。

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私たちは学校法人 精華学園高等学校 町田学習センターを運営していますが、多くの家庭で親が自分の子育てに自信を持てずにいます。子どもが不登校やひきこもりになると家庭が子ども中心になります。そして、親はバランスを崩していきます。言葉では「しっかりしなさい」と言いながら、親自身の自己肯定感の低さ、自信のなさが対応の仕方に現れてきます。残念なことに子どもはその部分を真似るのです。

実践心理学講座に参加している不登校のお子さんを育てている保護者の多くは一旦子どもの人生のサポート係をやめ、自分の人生をしっかり生きるようにすると子どもが変わるといいます。親が自信を持って人生を始める姿こそが子どもに衝撃を与えるのです。

実践心理学講座に通ううちに変化していく親を見て、子どもが興味を持ちます。

その時に「一緒に行ってみよう」と誘うことができれば、5割くらいの確率で連れ出すことができます。会場には数年来のひきこもり経験者や不登校経験者が何人も参加していますから、お子さん自体がコミュニティに歓迎され、居場所ができます。

「俺は30歳まではひきこもっていたけど今は会社を経営している。だから、君も15年くらいは寝てても大丈夫だよ!」と経験者に言われると「そんなに寝てるの嫌ですよ!」と子どもが答えます。これで不登校はしばらくで消えていきます。

親の自己肯定感の高さが子育てには非常に重要な要素なのです。

 

共感の子育て・評価の子育て

親の自己肯定感が高まったら、子育ての仕方を変えていきます。

自己肯定感を高めるための子育てに大事なのは「感情の共有(共感)」です。評価をしてばかりいると子どもはやる気をなくしてしまい、自分はダメな存在なんだと思うようになります。親が慌てて「そうじゃないよ」と言っても評価の裏で傷ついた感情はなかなか回復しないものです。

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逆にさまざまな出来事を一緒に体験し、感情を共有していくと子どもは自信を持って感情を表現できるようになります。「あのやり方はお母さんも喜んでいたからきっと良い方法なんだ」「今日、お父さんと『寒いね』と会話をしたから、これくらいで寒いと言って良いんだ」と感情を共有していくほどに子どもは自分の感情に自信を持つようになります。