職場の人間関係にけのスキルを実践する方もいます。特に年齢が違う、いわゆるジェネレーションギャップが激しいような職場では部下の気持ちを理解するのも容易ではありません。そんな時、傾聴のスキルを使って、自分の常識に振り回されることなく、部下が話している話を理解することは非常に重要です。

1.部下に対する傾聴のコツ

部下が伝えようとしている事は情報、すなわち理屈と気持ちの両方です。仮に情報が間違っていたり理屈の筋が通っていなかったとしても頭ごなしに世論をぶつけて、気持ちの方を追ってしまわないように気をつけたいものです。部下の一生懸命な気持ちを立てながら情報や理屈の誤りを直す。そのような関わり方がお勧めです。
また、部下と話すときの態度も大事です。部下が話してる話を大事にし、真剣に理解しようとしているかどうかを部下はよく見ています。雑に聞いていたり、過剰に嘘くさく同意したり、はぐらかしたりしていると部下は話をしてくれなくなります。

傾聴を学んでいるとそういう意味で部下の話を聞きやすくなります。そして部下の話を聞くと上司から指示をしなくても部下が主体的に何かを表現してくれることもあります。ひたすら傾聴することで部下は自らの問題に気がついたり、業務上のアイディアをひらめくこともあります。傾聴を使わずに指示をしているとこのような部下の自発的な動きや学びの機会を奪ってしまう可能性もあります。

部下の話を傾聴する重要性
フリーランスの仕事で組んだフリーランスの新人がいました。フリーランスで仕事を受注した経験が少ない彼はリテイクを出しても、自分の好きなようにやってしまい、悪い意味で個性的な成果物で、現場が滞ってしまいました。
一時はチームから外すことも視野に入れましたが、彼の話を聴いてみようと思いました。何故なら、他でもない私自身がフリーランス初期の仕事で、「自分の好きなようにやってる」と頻繁に指摘されていたからです。彼にも何か理由があるのかもしれないと思いました。
傾聴してみたところ、やはり彼も悩んでいて、個性を押し出したかったのではなくリテイクを自分なりに飲み込んだらそのようになってしまっていただけでした。彼のことを、ただ個性的になりたい新人だという誤解が解けて、彼の指導もスムーズになりました。
相手のことを決めつけずに、相手が考えていることをとりあえず頭ごなしに否定せずに聞き出す姿勢が大事なんだなと感じました。

 

部下の話を聞くことがパワハラ抑止に
職場で働く部下が、上司のパワハラに悩んでいました。最初は、気のせいだと思い込もうとしていて、明るく振舞っていたようですが、その態度が気に入らなかったのか、その上司の言動はだんだん激しくなり、夜もあまり眠れなくなってきたようです。
たまたまその部下とトイレで顔を合わせたときに、その部下の目が腫れていたので「どうしたの?大丈夫?」と声をかけると、その場でワーッと泣き出してしまったので、話を聞いてみることにしました。
話を聞いてみると、1年以上前から、部長に挨拶をしても自分だけ無視されたり、有給休暇を取りたいと申し出ても認めてもらえなかったり、挙げ句の果てには「あなたの代わりはいくらでもいる」と言われたと聞き傾聴しました。「今まで、そんなに辛かったんだ。気づかなくてごめんね」と言うと「聞いてもらって少し落ち着きました」と言ってくれて、その部下は上司との付き合い方に困ったら相談してくれるようになりました。
辞めることも考えていたようですが、2年経った今でもまだ働いてくれていて、上司が異動したこともあり「今は楽しいです」と言ってくれたので、話を聞いて、安心して仕事ができるようになって良かったと思います。傾聴の効果を感じた出来事でした。

 


2.傾聴が形式的にならないように注意

傾聴学び始めるとスキルが気になるようになります。しかし、意識的なうなずきやわざとらしいおうむ返し、共感していないのに共感しているような反応は逆に信頼関係を損ねてしまいます。一般に20代30代の若い年代は空気を読む力が優れ、こちらの表情や真意を驚くほど深く汲み取ります。だからこそ、部下に対して表面的なスキルを使うのではなく、傾聴のスキルを頭に入れた上で誠実に接することが大事です。