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第2回 傾聴の効果

学習のポイント:どんな場面で使ったら良いかのイメージをつかんでください。

第2回 傾聴の効果


1.傾聴の効果とは

傾聴には目的があります。ただ情報をたくさん聞けば良いのではなく、話し手がある状態になることを意図して行います。効果について知っておくことで、この傾聴が何の役に立っているのかが明確になり、「上手に傾聴できた」のか「あまりうまくできなかった」のかの違いがわかるようになります。

傾聴がもたらす主な効果には以下の4つがあります。

1) 気づき

私たちは意外なほど自分がどのような考えを持っているか、どのような気持ちなのかを自覚していません。傾聴することで、自分の考えや気持ちを言葉にし、受け止めてもらい、さらに伝え返してもらうことで自分自身への気づきを深めることができます。ただ傾聴してもらうだけでも自分の気持ちに気づけたという人も少なくありません。このようにして自分を理解することで自分自身や周囲を受け入れやすくなります。

2)信頼関係

傾聴を通して、人と人がより深く理解しあい信頼関係を築くことができます。人は自分が描いている世界観を人に理解されたり、感じている気持ちを共感してもらえることでその相手を信頼することができます。この信頼関係をいわゆるラポールと呼びますが、これが深まることでさらにその後の傾聴を深めていくことができます。

3)カタルシス

評価されたり批判されることなく、向き合ってもらえると安心して胸の内を吐き出すことができます。ひとりで抱え込んでいたものを吐き出すことで話し手は気持ちにゆとりを持てるようになります。

4)自己肯定感

私たちは普段、十分に人に相手にしてもらえなかったり、仕事や作業の都合でしか会話をしてもらえないこともあります。そんな状態が続いていると多くの人は自分には価値がないんだと考えるようになります。傾聴を、通して人が自分のために向き合ってくれる時間をとってくれることが自己肯定感を高めることにつながります。傾聴するときには気がついたり、他のことを考えることをしてせずに集中して相手に向き合うことが重要です。

2.効果を意識した傾聴

傾聴には効果に対応して、いくつかの流れがあります。基本的には話し手が中心となって流れを作っていきますので、積極的に効果を出そうとする必要はありませんが、それぞれの効果を知り、傾聴に生かすことはとても役に立ちます。

1)気づき

一般に気づきが起きやすいのは立場が変わったときです。子供の頃には気づかなかった親のありがたみを子育てをするようになってから理解できるようになった。とか、仕事をするようになって、お金のありがたみが実感できたというのは立場が変わったことによって起きている気づきです。傾聴の際に話し手が「自分の親の話」「ニュースでの出来事」「学校の先生の話」など一見すると関係がなさそうなエピソードを話し始めたら、止めずにむしろじっくり聴くようにしてください。親の話のときには子供の立場での苦労を話していたのにニュースのときには親や育成する側の気持ちを話すかもしれません。自然な会話の中で視点が切り替わること自体が気づきにつながる可能性があります。

2)信頼関係

人は自分を信じてくれた人と信頼関係をより深く感じるのです。特に話し手が「気持ち」を話したときにそれを共有できる。すなわち、共感できるとより強い信頼関係ができます。

3)カタルシス

話し手の目と声に注目して傾聴をしてください。感情がこもり、理屈では説明しきれない何かが湧き上がってくると目に変化が起きます。涙の量が増えたように見えたり、目が赤くなったりします。そして、声がかすかに震えるようになってきます。そうなってきたら、その感情をじっくり味わえるようにまるで演劇や映画を見て心を揺さぶられている人のように話をよく聞いて、味わってください。聴き手が少しだけ涙を流しても良い場面です。(※話し手を追い越して感情的にならないように注意)

4)自己肯定感

人は自分のことを自分だけで知ることはできません。相手の反応があって、自分自身の感覚があって、その両者を掛け合わせて自分を判断しています。傾聴のときに聴き手の態度が「あなたを信頼しています」「あなたのチカラを信じています」「あなたは私にとって大事な存在です」というメッセージを含んでいたら、話し手はその聴き手の反応を見て、「自分は信頼に足りる人物だ」と思い易くなります。自己肯定感は聴き手の態度によって、高めていくことができます。

 


3.スキルアップのコツ

「傾聴の効果」をさらに深めるための練習方法をご紹介します。

ディスカッション

上記の4つのポイント1)気づき 2)信頼関係 3)カタルシス 4)自己肯定感がどんなときに大きく変化したかを共有することは傾聴の勘所を抑える意味で重要です。

1)大事なことに気づいた瞬間

傾聴に関わらず、人生のある場面で人は大事なことにふと気づく瞬間があります。それを共有することで「こんな話の流れになると人は気づきを得やすい」というコツがつかめます。ベテランのカウンセラーはそのポイントを押さえているので、傾聴しながらも自然とその方向に話が進みます。(※作為的に誘導するのは良くありません。「うなづき」などのところで学びますが、自然にポイントをずらしていく方法をとります)

ボクシングは全てを教えてくれた
ある高校生がバイトの面接が怖くて、行動できずに困っていました。傾聴のメインテーマはその話題でしたが、途中で話がそれ、2年続けているボクシングの話になりました。殴られる怖さ、デビュー戦の緊張。彼がなぜ、デビュー戦の怖さを乗り越えて、1:1になるしか無いリングに上がることができたのか?その話を8割ぐらいし終えて、彼がハッとした顔で言いました。「面接はこれを使えばいいんですね!ボクシングが全ての答えなんだ!」彼の目から恐怖の色がなくなりました。

2)カタルシスが起きる音楽、舞台などの共有

ある種の演劇やドラマ、映画、音楽などではカタルシスが起きます。どんな映画を見たら、どんな演劇を見たらカタルシスが起きたのかを共有することも人の心のツボを知る意味で重要です。なぜ、その映画や演劇がカタルシスにつながったのかをディスカッションしてみましょう。

 

ワーク

2人組に分かれて、以下のようなワークをすることも役に立ちます。

1)身体の様子を伝え、伝え返す

「聴き手」と「話し手」の役割に分かれます。「話し手」は目を閉じ、身体に意識を傾けます。お腹が空いた感じがするかもしれませんし、胸のあたりが温かい感じがあるかもしれません。身体の感覚はパッパッとは表現できませんので、じっくり探って、「モヤモヤしているような気がします」のように言葉にします。「聴き手」は目を閉じて、身体の内側を探っている「話し手」の呼吸を観察して、そのリズムに自分の呼吸を合わせながら、「話し手」の言葉を待ちます。「話し手」が「モヤモヤしています」と言ったら、一呼吸おいて、「モヤモヤしているんですね」と優しく伝え返します。イントネーションやリズム、声の出し方をできるだけ「話し手」に近づけるのがコツです。「話し手」はさらに感じたことを伝えていきます。「聴き手」の伝え返しが「話し手」の心身に染み込んでくるようになると信頼関係がどんどん増していくのを感じることができます。

2)影褒め

ある程度お互いを知っている仲間と行います。

ひとりが壁に向かって座り、それ以外の人はその人の後ろ側に集まります。そして、その壁に向かって座っている人のことを褒め合います。「陰口」の褒めるバージョンと思って頂いたら良いと思います。本人は背を向けているので、参加することはできませんし、本人が聞いていないという設定でその人の素晴らしいことを褒めます。ある程度時間がたったら、壁に向かっていた人が感想を言います。特にどの切り口が嬉しかったか?を伝えることで自己肯定感が上がるポイントのコツをつかみます。

※注意
多くの心理の専門家は実は褒めるのが下手です。なぜなら、理論や流れが先にあって無理に褒めるのでとってつけたかのようになってしまいます。人情深い人が実際に人を褒めている場面を参考により自然に人の自己肯定感を高める練習をしてください。

 


4.傾聴の意義を感じた出来事

皆さんの体験をお寄せください。

注意事項)

  • 固有名詞や個人名などは「ある会社」のようにぼかして書いてください。
  • テーマに関係のない書き込みはしないようにしてください。
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