介護スタッフと傾聴ボランティア
一般財団法人雇用開発センターさんに「傾聴とは相手とバリアフリーの関係を作っていくこと」とありました。
これは介護業界らしい、素敵な表現だと思います。施設で働きながら傾聴をする人にとっては1:1で個室で行うカウンセリング形式の傾聴とはまた異なった集団生活のバランスの中での傾聴が必要になってきます。ある方が思いを吐き出せたからといっても他の方のストレスになってしまったり、その情報が漏れてしまったら「傾聴ボランティア」としては失格です。大事なことは相手の方の「伝えたい情報」ではなく「思い」に焦点を当てて、その「バリアフリーの関係」をいかに作っていくかではないかと思います。日々、介護の仕事だけでも大変な中、傾聴のマインドを持つのは容易なことではありませんが、是非頑張っていただきたいと思いました。
例えば、施設でAさんという方の話を聴いた際、同じ利用者であるBさんのことを気に入らないという話をするとします。傾聴ボランティアは、「悪口」も聴きます。その時、「Aさんはそう思ったのね!」と相手の話を受容しますが、Aさんに「そうだ、そうだ。あなたの方が正しい」と、正しいか間違っているかを下すことはしません。なぜ、この人は「この悪口」を言いたいのか、この人が本当に訴えたいこと、心底にある気持ちは何なのかを話全体や顔の表情等から考えていくのが、傾聴ボランティアです。Aさんは介護スタッフに甘えたい気持ちがあっても素直な思いが出せず、Bさんの「悪口」にすり替えているのか?家族に会えない寂しさが「悪口」なっているのか?被害妄想なのか等いろいろな面から考え、本当の気持ちを探っていったりもします。Aさんの心底の思いをAさん自身が分ってもらえるのが一番ですが、とにかくAさんの思いを吐き出して、さっぱりしてもらうことを目指します。吐き出してもらうためには、「傾聴ボランティア」は相手とバリアフリーの関係をつくっていく工夫も大事なのです。