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うつ病の家族に疲れた時に

2016/09/11 実践心理学講座
この記事は約 10 分で読めます。
Depression

うつ病の人の家族も闘病に疲れてしまう

大切な家族の一員がうつ病になってしまう。今まで笑顔で話ができていたのに「話がかみ合わない」「理解ができない」「ケンカが増えてしまう」などうつ病になってしまった本人だけでなく、家族もその対応に悩み、疲れてしまう事が増えてきました。

うつ病に最も効果があるのは「薬」や「心理療法」ではなく、「人との良好な関わり」です。人の笑顔を見て、ほっとする。共通の話題で盛り上がる。話を聞いて、気持ちを察してもらえたと安心する。そんな関わりが、うつ病になってしまったご家族の回復の助けになります。

一方でうつ病体験がない家族としては、「どう接して良いかわからない」「理解できない」と頭を悩ませたり、ストレスを溜めてしまう事も少なくありません。ここではうつ病になってしまった大切な家族を疲れてしまう事なくサポートするためのポイントをご紹介します。

【体験者の生の声】うつ病の家族に困ったこと

  • うつ病の影響で、突然暗くなったり明るくなったり、感情の振り幅が激しい。家族で普通にテレビの前で会話をしていても、急に泣き出したりしてしまうので、困った。
  • 理由がわからない一言で突然「理解がない!」と暴れ始めて壁を壊したり、家具を壊す。壊れてしまった壁を見るたびに胸が締め付けられるように苦しくなる。
  • うつ病の家族と接していて困ることは、感情の起伏が激しく、何でもないと思えることを必要以上に心配して、ネガティヴになることです。一人で心配事を抱えこむことです。
  • 急激な感情の変化に周りが対応しきれない時です。
    私の家族の中でうつ病になったひとは、もともとは努力家で活発な性格の人でした。
    うつ病を発症していない時は今まで通りに、とても頼りになる人なのですが、うつ状態に入ると完全に人が変わります。また、いつうつ状態に入るのかという明確な前兆がないため、周囲の家族がすぐに発見できない時があります。すぐに気づいてあげれない時は、本人にとっては大事にされていないと感じるようで、時にはヒステリックな反応を示します。

家族が疲れてうつ病になるケースも

うつ病は伝染病のようにうつる事はありませんが、家族の雰囲気が悪くなったり、気を遣いすぎたり、サポートをしている家族の方が悩みすぎてうつ病になってしまう事もあります。どんなに辛い仕事でも量がわかっていたり、「ここまで頑張れば良いんだ」とゴールが見えていれば頑張れます。しかし、残念な事にうつ病は1ヶ月先までかかるか10年先までかかるか先の見通しがつきません。また、1歩進んだのか?後退しているのかすらわからない時があります。まるで方角がわからない砂漠をさまようような途方もないストレスが家族に襲い掛かります。

【体験者の生の声】家族が本気で付き合ってしまうとうつっぽさがうつる

  • うつ病は伝染病ではありませんが家族の人までうつっぽくなってしまいがちです。それくらい、本気で付き合ってしまうとつらいですから、どこか気をぬくところは気をぬいて、医師に任せる気持ちでゆったりと過ごしてください。
  • 家族内でうつ病がうつることは本当にあると思います。家の雰囲気が暗くなり、次第に全員が疲れてくると知らない間に症状だけでなく、悲観的な考え方も似てきます。
  • 同情や励ましの言葉は聞き飽きてますよね。私はたまにそう言った言葉から負担を感じる時があります。でも、うつ病のご家族の方をずっと愛してあげてください。たまにはこっちの気持ちも考えてくれと言いたくなる時もありますが、それは言わなくても、うつ病の方が通常の状態の時に一番わかっていることだと思います。お互いに辛く、お互いに相手の存在に感謝しているはずです。頑張っていきましょう。

自分がうつ病になりつつあるかチェック

うつ病になり始めると次のような兆候が出始めます。

自分自身にその兆候がないかチェックしながら無理をしすぎないように関わる事も重要です。また、このチェックリストが家族のうつ病がどこまで回復しているかの目安にもなります。

  1. 疲れたと訴えたり、疲れやすい
  2. 寝られない。寝ていても寝た気がしない
  3. イライラしていたり、落ち込んでいたり波がある
  4. 夕方や夜よりも朝の方が調子が悪い
  5. 興味があったものにも関心を示さなくなった
  6. 部屋が散らかり、服が乱れ、化粧や髭剃りをしない
  7. 「うつ病」と検索をしている
  8. 人目がないところでは大抵肩を落としている

これらが2週間にわたり続いているようでしたら、うつ病になってしまっているかもしれません。この傾向が出始めたら、可能な限り、うつ病の家族から離れて趣味などうつ病と関係がないことに専念してください。

うつ病の家族本人に主導権を渡す

うつ病の人と関わるコツはオンオフをはっきりすることです。常に気遣い、理解できない状況を理解しようとしていると疲れてしまいます。うつ病の家族が助けを求めている時に力を発揮して(オン)特に助けを求めていない時には力を抜きます(オフ)そのためにはうつ病の家族が助けを求めているかどうかを把握しなくてはなりません。

うつ病の人の心理は特に外的な刺激がなくても波のように変わります。「え、さっきまで良いと言っていたのに!」ということも少なくありません。そして、その波は本人でも把握できずに振り回されていることすらあります。まして、うつ病経験がない家族にそれを察して、理解するのはほぼ不可能です。このサイトをご覧になっている方は「うつ病の家族をなんとか助けたい」と思っているので必要以上に神経をすり減らして、理解できないものを理解しようとしているかもしれません。

そんな時には主導権を本人に渡してしまうという方法があります。つまり、「私はあなたのことを心の底から心配している。でも、外から見ていると助けが欲しいかどうかわからないこともよくある。どんな時でも言ってくれれば出来る限りの事をするから、助けが欲しい時には遠慮なく、わかりやすく言って欲しい」と伝えておくのです。このメッセージが心がこもったものとしてうつ病の家族に伝われば、サポートをのタイミングを教えてもらえることになります。つまり、(オフ)の時間が作れるのです。

家族が出来ると良い基本的な対応

家族がうつ病になってしまった時の他の家族の主な役割をここではご紹介します。これを参考に周りの家族が出来る範囲でのサポートをしてみてください。決して、過剰にサポートして自分自身が疲れてしまうことのないように注意してください。

  1. 「病気」より「家族」をみる。うつ病がどうであるかではなく、大切な家族が何を考え、どうなっているのかという視点を忘れないようにしてください。「うつ病とは」という本やサイトを見てその家族を理解したつもりにならないように。
  2. 十分、十二分に理解できるまでは「励まさない」「評価しない」「指示しない」なぜなら、励まされるまでもなく当人は頑張っていますし、工夫をしています。励ましたり、指示をするということは「あなたはやっていない」というメッセージになってしまいます。十二分に理解して、それでも励ましや指示が必要だと思ったら、用心品がらやってみてください。多くの場合はそれでもうつ病の家族を「あなたはやっていない」と責めている形になってしまいます。
  3. 原因は本人にもよくわからないものです。人は汎化と言って、同じことをしていると学習する都いう特徴があります。憂鬱なモードを1ヶ月(理由に関わらず)続けていれば、誰でもその傾向が出てきます。それは憂鬱でいることを学習してしまうからです。そんなあいまいな状態で入り込んだうつ病の原因は明確にできないことも多いのです。また、この質問自体が問題にスポットライトを当ててしまうので、トラウマを思い出させたり、症状を悪化させてしまいます。
  4. 家の雰囲気をつられて暗くしない。うつ病の家族にあわせすぎると家の雰囲気が暗くなります。「うつ病の家庭」とタイトルをつけたくなるような家族になってしまっていることも少なくありません。あまりに暗すぎるとうつ病の人がふと水面に顔を出してもうつ病から抜け出すことができません。また、家族に対して「申し訳ない」という気持ちを募らせてしまうこともあります。

うつ病の当人のつらさを理解した上でも疲れた

うつ病の当人がつらいので家族はつらさを口にできないこともあります。疲れたと言えないこともあります。でも、いろいろな負担が増え、うつ病の家族を支えるのに疲れないことはありません。時としてうつ病の人は「自分が被害者だから」と周りを振り回すことすらあります。家族に対して理不尽な仕打ちをすることもないわけではありません。家族だから味わうつらさ、腹立たしさ、理不尽さもあるのです。

うつ病の家族を愛する気持ちが伝わらない

愛情があるからこそ家族も一生懸命です。しかし、愛情だけでは支えきれないほどうつ病の闘病生活は過酷です。イライラがつのり、ぶつかってしまったり、忙しい中で疎通がずれてしまったり、、、「愛情」だけで乗り切るには厳しい部分がうつ病にはあるのです。家族はそんな時に「疲れた」と感じてしまいます。

【体験者の生の声】うつ病の家族の気持ち

  • 家族だから、他人よりは近い存在のはず。もう少し安心して心を開いてほしい。うつ病になったのもあまり感情のはけ口になれなかったところが悪かったのかなと、悔やんでいます。
  • うつ病にかかった本人が一番辛いことは身にしみて感じています。ですが、周りの家族が本人を愛していないという誤解をされることは辛いです。禁煙と同じように、どうなったら完治なのかわからない病気ですが、たとえ残りの人生ずっとうつ病と一緒だとしてもそばにいたいです。
  • 家族本人がうつ病を認めてくれなかった時は大変でした。何を話しても返事がなかったりして、後から自死を考えていたという話をされて驚きました。普段は考えないようなわるい考えをしてしまうのが困りました。
  • うつ病も病気なのだから家族の言う事をきいて先ずはかかりつけ医でも良いから心の不調がある事を専門家に話して欲しいです。
  • 家族の気持ちはとても分かりますが、すべてを人任せにしないでほしい。
    うつ病がつらいのは分かります。甘えてばかりもよくなかったりします。
  • うつ病の家族に言いたいことは、一人で抱え込んで、一人で落ち込んだりしないで、他の家族に不安を打ち明けたり、助けを求めてほしいということです。

闘病の出口が見えない

ほとんどの家族は闘病当初は一生懸命に本を読んだり、「こんな方法もあるよ」「こんな病院を見つけたよ」と助けてくれます。しかし、一向に効果が出なかったり、出口が見えない途方もなさを感じ始めると徐々に勢いがなくなってきます。

【体験者の生の声】見通しが立たないつらさ

  • 病院でどれくらいかかりますか?と聞いても「様子を見ましょう」の繰り返しで、あと1ヶ月なのか10年なのか先が見えない。仕事をどうすれば良いのか?全てが判断つかないまま歳月が流れていく。身体が引き裂かれるような思いだった。

家族の未来を信じる気持ち

それでも家族は大切な家族の未来を信じています。つらさを抱えながらも諦めずに支え続けます。自分自身の問題なら自分が頑張れますが、家族の問題は自分が頑張っても結果につながらないと多くの人は考えるため「歯がゆい」を思いをしながら未来を信じて支え続けるのです。疲れてしまうのも当然かもしれません。

【体験者の生の声】大切な家族の未来を信じて

  • うつ病は一度なってしまうと辛いと思う。心の風邪をひいている状態と一緒。美味しいもの食べたり少し休んでまた走り出せたらいいと思います。

家族に必要な「話ができる人」

はけ口も出口も見えないうつ病の人そしてその家族に必要なのは「うつ病経験者」「うつ病経験者の家族」などの理解しあえる仲間です。「わかるわかる!」と話ができるだけでもまとわりついて離れなかった重さがふっと軽くなります。

【体験者の生の声】サポートする人が疲れては・・・

  • うつ病は心の問題なので、簡単に立ち直れるものではありません。
    すぐに立ち直れる人、時間がかかる人、色んな人がいます。
    立ち直るには、周りのサポートが必要です。
    しかし、そのサポートをするひとが疲れてしまっては良くありません。
    無理をしないでください。相談できる人がいたら、相談をしてください。
  • うつ病の家族と長い時間接していると、自分自身も疲れてしんどくなるので、つらくなる前に親しい友人や専門家、元当事者に相談すると少しは楽になります。

 

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8年のうつ病経験と克服経験を


 

主催者の椎名雄一は20代をうつ病・ひきこもりと共に暮らしました。
ベッドの上でひとりぼっち。友達も知り合いもいない社会で家族とも喧嘩。
誰も助けがない部屋に一人でいました。その経験を生かしてこの講座が作られました。

会場にひとりで(あるいは誰かと)来られる方はどんな方でも参加できます。

会場:東京都町田市原町田


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