私たちは様々なものに依存して生きています。都会に住む人ほど依存せずに生きていくことは難しいですし、依存自体が人の関わりや経済活動と密接に関わりあっています。
1.依存症の種類
依存症にはさまざまな種類があります。一般に言われていないようなものでも依存性があり、密かな依存症になっている人も少なくありません。
1)物質的な依存
ある物質を注射したり、食べたりすることで得られる刺激に依存することを指します。
アルコール依存
アルコールを日常的に飲んでる人でもアルコール依存になっている訳ではありません。初期状態ではそれほど症状も深刻では無く、ただ飲んでいる状態です。依存症との区別の仕方は数日我慢できるかです。その気になれば我慢できるのは依存症ではありません。これが進行すると精神的な依存が始まります。正確に言うと多くの場合、お酒を増やさざるを得ない寂しさや直視できない苦痛などが発生するとアルコール依存が進行します。こうなるとアルコールを嗜むのとは違う状態になってきます。
症状が進行すると徐々に仕事上のミスや遅刻、飲酒運転などが始まります。この時点で親しい人や家族は異常に気付き注意をし始めます。
さらに進行すると攻撃的になったり、問題がどんどん表面化するようになってきます。最終的にはアルコールが切れるとうつ状態になったり、不安に襲われるため、アルコールを飲まざるを得ない状態に追い込まれていきます。
タバコ依存
タバコに含まれるニコチンは報酬系回路である「ドーパミン」をはじめとして、ノルアドレナリン、セロトニン、ドパミン、アセチルコリン、γ-アミノ酪酸、グルタミン酸塩などに影響を及ぼします。ニコチンは吸収が早く、1本タバコを吸って、30分後にはもう一本吸いたくなってしまいます。また、心理的な依存もあります。いつもタバコを吸っていた場所やタバコの印象が強い作業をすると心理的に「吸いたい」という気持ちが湧いてきます。タバコを吸っている人はタバコが自分を助けてくれていると信じていることが多く、それが禁煙を進める周囲との壁になってしまうこともよくあります。
薬物依存
薬物は意外に身近に存在しています。「合法ドラック」「脱法ハーブ」などという名称で通販などで販売されているものや「お香」「アロマ」として販売されていて手に入りやすくなってしまっています。こんな商品を使ってしまったために「意識障害」や「嘔吐」「痙攣」「呼吸困難」などになって、死亡したり、重体になってしまうこともあります。法律で規制されている覚せい剤や大麻と構造が似たものを化学的に作って販売しているのがこれらの薬物です。また、抗鬱薬やある種の病院で処方される薬物にもドラッグに似た効果があるものがあります。それらを入手して、薬物依存になってしまう人もいます。向精神薬からの離脱はヘロインからの離脱よりも難しい場合もあります。
薬物依存体験談
私の主人が薬物依存症でした。
彼はアメリカ人で35歳でした。私たちはアメリカで暮らしていました。
主人は19歳の時からてんかんを患い、様々な抗てんかん薬を試してきました。しかしどれ一つとも長く効くことはなく、数十種類の薬を試してきていました。本人は薬を飲んでいない、または薬がそばにないと不安に感じていたようです。
彼はアメリカでは医学部で勉強していました。あともう少しで学校を卒業という時だったでしょうか。お金のためにカリブ海にあるアメリカ系の医学部校に行きました。てんかんがあったのにも関わらず海外の第三国にある医学部に行かなければならず、離れ離れに私たちはしばらく生活していました。そんなカリブ海の国で彼はとあるオピオイド系の「ペチジン」と呼ばれる強い痛み止めに手を染めてしまいました。オピオイドについてですが、現在アメリカ国内では死亡者数では交通事故死を抜いたことで有名です。
カリブ海の国でもてんかんの発作を度々主人は起こして、学校の医務室でオピオイド系のペチジンを処方されたことが悪夢の始まりでした。彼はやがてアメリカ国内に戻ってきました。しかし私は彼がオピオイド中毒になっていたことを全く知りませんでした。まさか平和な日本で暮らしている人間がどうやって知り得ましょうか。そして彼が医学部生だったということも事態を悪化させました。
主人は脳外科を転々と回って、ペチジンを求めました。しかし大多数の医者はペチジンが危険だという認識があるために、処方を拒否しました。
しかし主人は自分が医学部生だということを唄って、やがて自分にペチジンを処方してくれる医者を見つけました。しかしペチジンがてんかんの発作に効くではなく、単に痛みを感じさせなくなるだけで脳を麻痺させる働きがあったのです。ペジチンを摂取した後に、麻薬中毒症のような症状が出ました。しかし私や家族が止めようとしても、彼は効く耳持たず、結局2016年1月、彼は亡くなりました。
2)行為への依存
ある行為をする過程で得られる刺激に依存してしまうタイプの依存を指します。
主な依存症:パチンコ依存・競馬依存・ゲーム依存・買い物依存
買い物依存体験談
夫と結婚し、5年働いていた会社を辞め、専業主婦になったときに買い物依存症になりました。それまでも、買い物自体はとても好きでしたが、自分のお給料の範囲内で現金で買い物をしていました。夫と結婚し、夫のクレジットカードを受け取り、お金を使う感覚が麻痺するようになりました。
また、独身の友人たちがブランドのバックやアクセサリーを買っているのを見ると、専業主婦の私でもブランドを購入できると見栄をはりたくなりました。
月に30万円以上、服やアクセサリーにお金を使うようになり、それらを購入すると部屋に並べて写真を撮り、心が満たされました。
夫がカードの明細を見て、買い物を禁止されましたが、それでもやめられずに、生活費を切り詰め買い物をするようになりました。
また、姉にもお金を借りてでもブランドを購入するようになり、親から叱責されました。
夫との関係も悪くなり、離婚話までになり、普通の生活ができなくなり、一度実家に戻りました。
それからはカードを取り上げられ、実家で半年質素な生活をして、少しずつ普通の生活を取り戻しました。
ギャンブル依存・買い物依存体験談
わたしはギャンブル依存と買い物依存症です。
以前働いていた会社がブラック企業で、労働時間はえげつなかったですがとても給料がよく当時19歳の私では十分すぎるほどのお給料を頂いていました。
当時周りの子は学生で、金銭感覚も合わず、年上の方とばかり遊んでいました。たまたま知り合った方にぱちんこや麻雀などを教えていただき、お給料の使い道も特になかったですし、どんどんギャンブルにハマっていきました。私はおもにパチンコでしたが、もともと買い物グセはあり、給料がでるたびになにかブランド物を購入していました。パチンコで勝てば、よりたくさん買えるし、負けてもストレス発散に購入していました。今は仕事を変えて当時の半分くらいの給料で生活しています。買い物やパチンコは控えるようにはしていますが、ストレスがたまるとつい手が出てしまいます。旦那も子供もいるので!ほどほどにしないと分かっていながら生活費に手を出してしまうことも多々ありました。給料が減れば治ると思っていましたがそんな甘いものではありませんでした。依存症というのはちゃんとした病気だと思います。真摯に向き合っていきたいです
ギャンブル依存症体験談
私自身がギャンブル依存症でした。時間があればパチンコやパチスロや競馬のことを考えていて、頭の中にはそれしか無かったです。仕事をしていてもギャンブルのことが気になってしまいました。そんな感じで仕事をしていてももちろん上手くいかず、悪循環になっていました。何度もやめようと試みたのですが、自分の力だけでは難しいです。勝った時の興奮が忘れられないのです。楽しむ程度だと良いとは思いますが、私の場合は限度を超えていました。借りたお金をギャンブルで浮いたお金で返そうという考えが当たり前になっていました。そんなに上手くいくはずがありません、勝つ時もあれば負ける時もあります。大体の人は負けていると思います、そうでなければパチンコ屋さんも潰れてしまうでしょう。ただハマっている時には自分は勝てると信じて疑いませんでした。専門の相談センターに相談して依存症と自覚してからは、そこのお世話になりました。借金も何とか返せて時間も有意義に使える様になりました。
3)関係への依存
人間関係や特定の人物に対する依存を指します。
主な依存症:男性依存、女性依存、共依存、ストーカー、DV
2.主な依存症の症状
依存症になるとこのような症状が出ます。
1)衝動的になる
「じっくり1年待ちますよ!」という気持ちになれず、思いついたら「今すぐに!!」となってしまう。よくアルコール依存の人が「今、酒もってこい!」となりますが、「今度の給料が入ってからにしましょうね!」という話にはなりません。依存症の一つの症状は衝動的になることです。
2)強迫的になる
「やめられない止まらない」というのはかっぱえびせんのキャッチコピーですが、まさにそうなってしまうのが依存症の怖いところです。長期的には良くないことだとわかっているのにやめられない。強迫的にその物質、行為などを求めてしまいます。
3)反復的になる
やったら満足するのではなく、またやりたくなるのが依存症の怖いところです。ゲーム依存の人などを見ていてもわかりますが、延々とやっています。満足するということがなく、やればやるほど反復的にその行為にのめり込んでいきます。
4)貪欲的になる
依存症の症状によって、欲求が抑えられなくなり、次第に手段を選ばないようになってきます。貪欲に依存物質や関係性を求めてしまうため、トラブルの原因になったりします。
3.依存症の予防の仕方と改善のポイント
依存症には共通した傾向があります。そのパターンを知って、依存症をよせつけない。あるいは依存してしまったものと距離を取る方法をご紹介します。
1)禁止では依存症から抜け出せない
薬物依存やアルコール依存の人に薬物を渡さないようにして禁止すれば、本当に依存から抜け出せるでしょうか?その方法では依存症を強化してしまっていませんか?
2)本質を見誤ると依存先が増える・悪化する
なぜ、依存症になっているのか?依存物質手を出したから?本当にそうでしょうか?依存物質に手を出しても重症化しない人と簡単に重症化してしまう人の違いとは?アルコール依存を禁止すると薬物依存をしようとするのはなぜか?
3)お母さんとの共依存は依存の種
親子が共依存関係にあることはよくあります。子育ての過程で、共依存に一時的になることもあります。しかし、共依存も依存の一種。子供が自立して、依存相手がいなくなったら、お母さんは何に依存するのでしょうか?逆に親が自立して、依存先を失った子供は何に依存するのでしょうか?
4)依存先を増やすことが出口という勘違い
依存と自立は根本的に意味が違います。そして、依存傾向がある人は依存の数や量、質の問題だと考えがちですが、それは実は間違いです。自立をしている人は依存に軸足を置いていないので自分でスッと立っていられます。なぜ、そんな勘違いが日本中に広まっているのでしょうか?それは自立している人は依存している人と関わろうとしないので、依存している人を依存している人が支える仕組み(共依存)が依存症の人達を支えているからです。
無料講座 10月20日金曜日 19時から21時
オンライン ZOOMにて
お申し込みは以下から
https://j-mental.org/shinri/cal/form/