母親にとっての子どもの存在

存在を認めることは子どもの自己肯定感の第一歩になります。

何ができるでもなく、無条件に存在を認めることが自己肯定感につながります。

そこで大事なのは父親と母親の違いです。

 

子どもが生まれる約10ヶ月前から子どもを育て始めるのは母親です。
そして、出産当日、痛い思いや苦しい思いをしながら子どもを産み落とすのも母親です。

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母親にとっては子どもが生まれることは紛れもない事実です。

一方で父親はどうでしょうか?
子どもができたと「聞いて」子どもがいるんだなと知り、
お腹が大きくなってくる妻を「見て」子どもがこの中にいるんだと知ります。

そして、看護師さんに「かわいい、男の子ですよ」のように言われて、「ああ、これが自分の子だ」と知るのです。

冷たい表現をすれば、父親にとっては子どもは「情報」母親にとっては「事実」なのです。

 

 

母親だから伝えられる自己肯定感

母親が我が子が存在する実感を子どもに伝えることは子どもの自己肯定感に大きく関わります。なぜなら、母親の「事実」に基づいたメッセージは父親の「情報」にメッセージよりも強力だからです。

子育てが進めばその家庭においての役割によって、父親からのメッセージが強くなることもありますが、どんな子どもも最初は母親からの特に「事実」に基づいた非言語的なメッセージで自己肯定感を育みます。

子どもはお母さんの意識がどれくらいこちらに向いているかに非常に敏感です。

もし、スマホをいじりながら子育てをしていたとしたら、子どもは非言語的にこちらに集中していないなということを感じるかもしれません。逆に言葉は通じなくても何かを語りかけたり、目を合わせたり、気持ちを向けていれば、子どもはそれに反応します。

そして、最も大事なのは「そのお母さんの意識がどれくらいこちらに向いているか」です。

育児をするときには子どもに集中する。
育児をしないときには子どもから少し距離を取る。
小学校高学年になる頃までその方法で自己肯定感は徐々に高まります。

 

母親ができる自己肯定感の高め方

生まれた頃は無条件に子どもの存在を認めていた母親も子どもが育つにつれて、条件付きになってきます。成績が良いから褒める。お手伝いをしたから褒める。そのやり方はとても父親的です。

子どもがこの世に生を受けて、間違いなく存在することを母親が喜んでいることを伝えることが自己肯定感を高めるのにとても重要です。なぜなら、今の社会では特に小学生に対して、「あなたは重要な存在だよ」と非言語的なメッセージをくれる人がいないからです。

マニュアルで動く店員さんは「いらっしゃいませ(あなたは本当に大切な人)」というメッセージを子どもにしてくれません。「いらっしゃいませ(仕事だから言っておきますね)」というメッセージは子どもの自己肯定感を傷つけます。

もし、母親が感情を込めずに宿題や成績のことを話し始めたら、子どもは誰に存在を大事にしてもらえるのでしょうか?1日に1回でもそんな時間を作ってみてください。何かできることが素晴らしいのではなく、あなたがいることが素晴らしいと伝える時間を持つだけでも子どもの気持ちが変化し、自己肯定感がゆっくりゆっくりと高まっていくのがわかります。