目 次
1.アサーションとは
2.傾聴との関係
傾聴とアサーションには密接な関係があります。傾聴が相手の気持ちをキャッチするスキルだとすれば、アサーションはこちらの気持ちを発信するスキルといえます。話を聴く立場ではそれほどアサーション的な関わりをすることはありませんが、ピンポイントで活用することでより良い自己開示にもつながります。
1.アサーションとは
自分の気持ちを尊重して、感情を抑えずに相手に上手に伝えることをアサーションと呼びます。
1)自分の気持ちを知る
小さなミスをされてしまった時や気にするほどではない些細な失礼な出来事をいちいち意識していたら疲れてしまいます。なので、私たちはそれらを流すようにしています。ここで重要なのは自分が一瞬でも「嫌な気持ち」になったかどうかに気づいていることです。自分を一番大事にできるのは自分です。どんな反応をするかは別にして、自分が今どんな気持ちになっているかに気づいてあげることが自分を大事にすることにつながります。傾聴をする時には話し手がアサーティブでいられるように関わることも重要です。
2)「私はこうしたい」と自覚する
人間関係で起きる問題を避けようとするあまり、他人の気持ちを優先しすぎてしまうことがあります。次のようなことに気をつけながら、自分自身の気持ちに自由になることを心がけてみてください。
- どのように行動し、どのように考え、どんな気持ちを抱くかは自分で決めて良い
- 自分の行動を説明や言い訳せずにやって良い
- 他の人を助けるかどうかを自分で決めて良い
- 私は途中で考えを変えても良い
- 私はまちがっても良い
- わからないことを「わからない」ということができる
- 「そうは思わない」と自分の考えを述べて良い
- 相手が親切であるからといって付き合わなくてはいけないことはない
- 罪悪感なく断っても良い
これらを気にすることで自分自身の気持ちに正直に人と関わることができるようになります。また、傾聴をする時にはこれを話し手が十分できる環境を作るとより自由な傾聴ができます。
3)満足しない状況に慣れる
私たちは満足しない状況に慣れて悪循環から抜け出せなくなることがあります。例えば次のようなパターンが繰り返される人はその傾向が強いといえます。
- いつも人に見捨てられる
- 人のために尽くしても感謝されない
- 地味で面倒な仕事が回ってくる
- 自分を誰も大事に扱ってくれない
- 誰も自分の意見を聞いてくれない
いつものコミュニケーションパターンにはまってしまって苦しんでいる人が少なくありません。そんな自分に課せられている枠組みに気づき、解消することができると楽になります。
2.傾聴との関係
傾聴とアサーションは逆の概念のようですが、コミュニケーションがキャッチボールだと考えると共通するところがあります。話し手が何かの感情やパターンに悩んでいるとしたら、アサーションが足りないと仮説を立てることができます。傾聴によって、そのアサーション不足を解消できれば、話し手は自分の気持ちに向き合うことができ、より良い人間関係を得ることができます。
1)自分の気持ちを知る手伝い
抑え込んでしまった感情は自分自身でも気づくことが難しいものです。傾聴を通して、その隠れてしまった感情にアクセスする手伝いをすることができます。「そこに何か気持ちが隠れていそうですね」ということで普段は素通りしていた自分の気持ちに目を向ける機会が得られるのです。
2)わがままなような気持ちを聴く
わがままだと思って出していない気持ちを出せる場を作ってあげると傾聴の質が高まります。どんな人にも自分を大事にして、自分勝手で、わがままなような気持ちがあります。それを押さえ込まずに吐き出せることも傾聴においては非常に重要なことなのです。