こんばんは!実践心理学講座ブログスタッフの山岸です。

前回の続きです。

その会社の60代の社長は、
若い頃から人を押しのけても蹴落としても上に立つと頑張って社長になったので、
「技術を磨いて一人前になりたいが、人を押し退けてまで上に立ちたいとは思わない。」という社員たちを「つまらない。」と言っていました。

この価値観の違いからか、数年後には社長と社員の間には大きな亀裂が入っていて、
やる気のあった社員たちは、今や
「社長のように他人にミスをなすりつけて平気な人間にはなりたくない。
正直者が馬鹿をみる会社なので、やっても損するだけ。誰のフォローもしないし、最低限のことしかしない。」と。

社長は
「やっぱりだめな奴ら。甘やかされて育ったから、すぐやる気をなくす。できなさ過ぎる。」と愚痴ります。

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世代間ギャップのよくある話でしょうか。

社長が今の社員と同じ年齢だった頃、高度経済成長期の波を受け、この会社は今よりずっと多くの社員がいて、求人倍率も非常に高く、常にライバルが多い状態でした。

強い年功序列の上下関係。上の人に嫌われればあからさまに仕事をもらえず、技術も学ばせてもらえないような世界でした。

上の人に取り入るために他人を陥れたり、ミスをなすりつけたりする、つまり「人を押し退ける、蹴落とす」ことを上手にやった人間が認められていった、上の人のために泥水をすするようなこともやってきたからこそ、認められて社長を任されたというわけです。

社長の言葉を借りれば、人を押し退けられなかった人たちは「だめな奴ら」であったわけです。

とは言え、今の社員の置かれている環境は20代社員2人にパートさん2人のみ。
求人しても応募はほとんどありません。

業績は悪化し、注文が減ったとは言え、会社のすべての業務を僅かな社員で回していかなければならないため、社員たちは助け合いこそ必要だと協力して頑張っていたわけです。

押し退けるようなことをしても、会社のためにも誰の何の得にもならないと。

そんな環境にあっても、社長の根強い価値観。

結局、社長の価値観に皮肉な形で譲歩した状態が、協力し合うことをやめ、頑張ることをやめたというわけです。

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こうなってしまうと、渦中の二者間で話しても解決しないことが多いです。

どちらも自分が正しく、相手が間違っていると、正誤や善悪で膠着してしまいがちだからです。
これはつきつめれば、相手に自分を認めてほしいという、ごく自然な気持ちが端を発していることが多いようです。

社長は自分のこれまでの半生を社員に認めてほしいし、
社員は今の社会や会社の状況から判断して行動している自分を認めてほしい。

こうなってしまったとき、どんな解決方法が考えられるでしょうか。

この会社の場合ももちろん、解決策はあります。

それは、「視点を変える」「視点をずらす」ことですが、渦中にハマっていると、それが分かっていてもうまく視点を変えたり、ずらすことができなかったりします。

分かってしまえば、「たったそれだけのこと」だったりするのに、です。

実践心理学講座では、そこここに「視点を変える」ワークを取り入れています。

そうして、異なる価値観同士で互いを認め合うこと、それを体感することを促しています。

相手を認める上で、相手に同調しなくてはならないことはありません。相手を好きにならなくてはいけないということもありません。

人を認めるとはどういうことでしょうか。

そのヒントや、または答えが、実践心理学講座の中にあります。
ぜひ、いらしてみてください。