うつ病になると世界の見え方が変わってきます。他の人は仕事に行っているのに自分はいけていなかったり、多くの人は朝から頑張って仕事をしているのに自分は昼まで寝てしまっていたりそのように世間とずれてしまうことがあります。そのずれてしまっている感覚世界観を周囲の人に理解してもらうのは非常に難しいことです。

うつ病は朝が辛い

一般の人は夜寝て朝起きると体力が回復しているものです。だからこそ、よく寝られた?とか、元気になった?と聞かれます。

うつ病は夜寝るときの方が朝起きた時よりも元気であることが多く、朝起きた瞬間はもうすぐに寝たいと思うほど体が重いことが少なくありません。これがうつ病の症状の1つです。

しかしこのような感覚のズレがあるので、一般には寝たから元気になったでしょ?のような対応されるので、うつ病の人は理解されない感じ、疎外感を感じたりします。

傾聴することでこのような感覚のズレ、状況の違い、辛い気持ちを理解してもらえると発病の人はだいぶ楽になります。

現状と次の手がつながらないうつ病

うつ病の人から見た現在の状況は非常に深刻だったり、複雑な状況になっています。だからこそ、第三者が良かれと思ってこのようにしたらいいよみたいなアイディアを言ってもそのアイディアとうつ病の人が思っている現状がつながりません。

うつ病の人には途方もないようなアイディアに聞こえてしまいその点はなかなか受け入れることができません。うつ病の人にとって軽重が有効なのはそのような理解しにくい複雑な状況をまずじっくり把握してもらい、共感してもらい、同じ場所に立って、その複雑なややこしさも含めて次の手を考えてもらえると納得しやすくなります。

共感されることがうつ病に効く

うつ病の人は心が晴れず、体調が悪いことも多いので、あまり活躍の場を与えられることもありません。ただただ、病人のように扱われたり、いわゆる腫れ物に触るような扱いをされることもあります。

それでは他の人と同じような作業して感情を分かちあったり、共感することもあまりありません。

実はうつ病に対して効果があるのはこの共感です。傾聴によって、表現しにくい心の内を受け止めてもらい、理解してもらい、共感してもらうことでうつ病の人が普段できない心と心がつながる体験をすることができます。

カウンセリングの基礎としての傾聴

うつ病に対するカウンセリングは多くの場合傾聴から始まります。

傾聴し、その人が悩んでいる独特な世界観、心理状態をまず共有します。多くの場合、この世界観が元気な人には理解できないような形をしているので、丁寧にこの部分を理解し、共感できるようになってからじゃないとせっかくのカウンセリングが空回りしてしまいます。

様々なテクニックが生み出されているカウンセリング業界においてもそのベースとなる傾聴は非常に重要です。逆に傾聴を充分にしないで、一方的にテクニックをしつけるようなカウンセリングは多くの場合、うつ病で悩んでいる人を苦しめてしまいます。