うつ病になって最も辛いのは「憂鬱な気持ち」や「倦怠感」ではないかもしれません。言葉にしにくい、伝えにくい、ややこしい状況になってしまって周囲の人とコミュニケーションができなくなってしまうことがうつ病の人にとっては非常に辛いことです。

5分の時間があれば話せることがあります。
30分なら話せることがあります。
3時間、じっとこちらを見ていてくれたら話せることもあります。

だから、「5分聞くよ」という関わり方ではうつ病の人は症状を話せません。傾聴ができる人が一回じっくり話を聞くだけでもうつ病による孤立感、孤独感が一気に楽になります。

目次
1.うつ病の早期発見に傾聴
2.言語化できないから難しい

 


1.うつ病の早期発見に傾聴

うつ病になりかけの人はなかなかその症状を相談できません。言葉にしにくい感覚だし、忙しそうな人に理解してもらえそうな気がしないからというのもあります。傾聴をすることで早期発見をすることができたら、深刻なうつ病になる人が減るかもしれませんね。

うつ病に早めに気づいてあげたかった!
友達がうつ病と診断されました。
友達は夫婦で仲良くさせてもらってて、お互い家族が仲良くて、休みの日に会って遊びに出かけたりしていました。しかし、何ヶ月か会っていない期間に、その友達はうつ病になっていました。職場と家庭で色々あり誰にも話せないでいたみたいです。

仕事を休んでいるのを知ったのは、私が職場の人から聞いたことがきっかけでした。誰にでも明るくて友達も多くていつも楽しそうだったけど、異変に誰も気付いてあげれませんでした。それからはなるべく傾聴をする機会を増やすようにしました。最初は上手く話せず閉じた感じだった友達も次第に気持ちを伝えられるようになってきました。

3ヶ月たった今、友達は前向きにうつ病を治そうとしています。この経験を通して、傾聴がとても力になるんだと実感しました。うつ病は一見するとうつ病にかからないような人でも簡単になってしまいます。「あの人は大丈夫」と勝手に考えずに早めに傾聴する機会がもてたら、うつ病にまでならずに済んだのかなと思いました。

実は私も人に話さず溜め込んでしまったりするので、いつか爆発しちゃうのではないかと思う事があります。育児をしていると、思い通りに行かない事の方が多くて、イライラしたり怒鳴ってしまったり、わかってくれる人がいれば凄く変わるのかなと思います。でも、なかなかそういう事をわかる人はいないし、みんな忙しそうだから話をするのも難しいですが、傾聴してもらえる場がもっと増えたらよいのかなと思います。

「言葉」にフォーカスした傾聴をしていると見逃してしまう気持ちがあります。うつ病の人の倦怠感や憂鬱感、つじつまが合わない波打つような気持ちの変化を理解するのは簡単なことではありません。「言葉」で表現できるのはごく一部で、その話し方や呼吸、気持ちの変化、日常生活の中で波打っている様子を観察することでようやく掴めてきます。傾聴は事情聴取ではないので、気持ち・非言語的な情報をキャッチすることが非常に重要なことです。

 


2.言語化できないから難しい

うつ病は多くの場合、朝、調子が悪く、夜調子が上がってきます。やらなくてはいけないことをやる気力が極端に少なく、やりたいことならば楽しめることもあります。それをわざとやっているわけではないのですが、表面的に関わったり、傾聴が浅いと誤解されてしまうこともあります。

言語化して、ビジネスのように明確に処理できればよいのですが、それができない領域にうつ病はあります。

恋愛をしている人に「なぜ、好きになったのですか?」と聞いても明確な答えが返ってこないかもしれません。恋愛は感情、気持ちでするものですから、そんなに論理的に整理して、言葉にすることが難しいからです。傾聴が非言語の領域にまで達していれば呼吸の変化や目の潤み具合などで把握することもできます。