自殺者3万人の日本VSイラク戦争
日本は日本人同士で戦っている
中東の人が中等は戦争ばかり起きていてとても危険な場所だと思っているけど、毎年3万人自殺している日本のほうがよっぽど危ないよ、という話をしていたという話を見かけました。
日本では一日に100人が自殺していると言われています。そんな馬鹿なと思うかもしれませんが、100×365=36,500と思えばそんなにケタ外れた表現ではないことがわかるでしょう。
そして、戦争地域で毎日100人程度なら亡くなっている気がしますが、実際はどうなのでしょうか。
毎日とは言わずとも、しょっちゅうテロで数名亡くなりました。拉致されました。そんな話をよく聞きます。そのため、とても危険で一歩足を踏み入れれば撃ち殺されたり、大砲の弾がそらから降ってくる、そんな印象を私も抱いていました。
戦地に赴いて、拉致されるのは自己責任。そのような話も誰かが捕まるたびに聞きます。
つまり、ほぼ毎日誰かが死んでいるような環境に行けば拉致されるのも当たり前、鉄砲の弾に当たって死んでしまうのも仕方ない。行くなと言われている場所に行くのが悪い。そして、行くな、と言われている根拠はその戦争状況で「死の危険」があるからであると言えるでしょう。
戦争って実際は何人くらい亡くなるの?
ここではイラク戦争を例に上げて考えてみようと思います。
イラクでは、2003年からいろいろな戦争が起きています。「イラクの自由」作戦と名付けられた戦争は地域で言うとイラクだけではなくその周辺地域も含まれています。
さて、2003年から今まででどれくらいの方がこの戦争で亡くなっていると思いますか?
ちなみに、アメリカで起きた9.11のときのテロでは約3,000名の方がなくなっています。
一度のテロでそこまでの人数が亡くなってしまうことを考えると、それが少なくとも10年。3,000×10=30,000人
いやいや、一年間で日本で自殺する人と10年以上戦争している地域が同じくらいの数であるわけがないだろう。鉄砲の弾に当たって助かるのは考えづらい。
確かに、私もそんな風に考えていました。太平洋戦争の戦死者のうちほとんどの死因が餓死であることくらい信じられません。
それでは、そろそろお答えをお見せしましょう。
日本の一年間における自殺者数>イラク戦争における死者数(2003年以降)
この記事の流れからするとそんな気がしている方もいるかもしれませんね。
そうなんです。10年間かけて、鉄砲の弾に当って亡くなるよりも、大砲の弾に当たる人よりも、自分で首をくくる人のほうが多いのです。
そうはいっても、そんなに数が変わらないのではないか?そんなふうに思う方もいるかもしれません。実際の数字をお見せしましょう。
戦死者(軍人、民間合計)4,424名
負傷者数(軍人、民間合計)32,265名
この数字の差のインパクトはなかなかだと思いませんか?
10年以上戦争している地域で亡くなる方よりも、8倍くらいの人数が日本では毎年、自らの死を選んでいるのです。9.11のテロが大体、毎月起きていると考えてもいいかもしれませんね。それくらいの人数です。
ちなみに、2003年から日本国内の自殺者数を合計すると30万人を超えます。
30万人というと小国であればほぼ人口分くらいに匹敵します。
昔の哲学者が政府による統治がない状態を万人による戦争状態と表現しました。
なんとも皮肉な状況が今の日本で起きているといえるでしょう。
別に誰かを悪者にするつもりはありません。社会のシステムが悪いと、この文脈で言えばそれなりに響く論拠になるでしょう。
自殺を防止しましょう?その場で助けてあげることは可能です、しかし、その先はずっと助けられ続けますか?
これだけの状況を対処療法的に救っていても、しょうがないのは実感的にわかると思います。確かにほとんどの人にとっては他人事です。10年生きていれば、たまに出会う程度の頻度です。
一人ひとりがよりよく普通に生きていきたいと思える世の中を日本で作ろうというのは革命でも起きない限り難しいでしょう。皆ががけっぷちで戦っているのです。そこをむやみに突き崩してしまえばそれこそ戦争です。ならばせめて、そう思える環境に、国をまたいですら移動できるくらいの支援ができる形になればいいとこの人数を見て感じました。
参考)http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nobu/iraq/casualty.htm